船橋夏見店

船橋夏見店です。

あれから二年が経ちました。

「実感」が少しずつ薄れ、あの頃あった大きな大きな「見えない不安」は、
少しずつ風船のように小さくなり、「それ」を少なからず見ようとしなく
なっていました。

日記に書くことで思い出したり、この日記を読んだ人へも
悲しい気持ちにさせてしまうかもしれません。

あの日、自分は仕事をしていました。
二年後、同じ日も仕事をしていました。

なんだか当たり前のようになってしまっている感覚がありますが、
それは良いことでもあると思います。

しかし、あの時のことに全く触れず、何事もなかったかのように仕事をし、
生活をし続けることに、心のどこかでは違和感を感じるのです。

これは過去を振り返り、現在に繋げ、未来を少しでも良くしたいという、
あくまでもポジティブな日記です。

あの日、「それ」が起きて、

いつでもどこでも”ツナガッテ”いることができる高性能機械は
その役割をほとんど成さなくなり、

乗り物という乗り物はその概念を失い、
いつもなら30分で帰れる道を3時間かけて歩いて帰り、

テレビに映し出される光景は、「その場所」に居ない自分にとっては、
どこか現実感がなく、只々巨大な恐怖の塊であり、

「その場所」にいる人達のことを思うと、悲しさと怖さで苦しくなり、

自分個人単位の問題ではなく、日本はどうなってしまうのだろうと、
不安で不安で眠れなかった。

翌日から、コンビニエンスストアーやスーパーマーケットの棚からは
食料・水が奪い合いのように消え去り、

雨が降れば、その一滴一滴におびえながら職場に行き、

正直「こんなことしてる場合なんだろうか。」と、
仕事をしている意味を見つけられなくなり、

心と体は疲弊し切っていました。

でも、人間ってのは、たぶん希望を見つけようとする
生き物なんだろうとも思った。

3時間かけて歩いていた道の途中で、自分を含めて
老若男女十人くらいの人達と、帰る方向が同じというだけの目的で
自然と声を掛け合い、グループになった。

途中コンビニによるとその中のおばちゃんが
チョコパイと温かいカフォオレをみんなに買ってくれ、
「もうちょっとだから、頑張ろうね。」と渡してくれた。

計画停電で、夜あんなに真っ暗になって、「当たり前」がなくなった時に、
そんなに心細くなかったのは、同じように暗闇の中でも周りに人と、
空には大きな明るいものがあったから。

家族、友人、知人が生きていたことだけで、どれだけ安堵したことだろう。
たぶん、みんなその時はもっと「優しくしよう。」と少なからず思ったはず。

これからの自分たちにできること。

2013年3月11日の警視庁、復興庁の発表によると

 
死者 1万5882人
行方不明者 2668人
避難者 31万3329人 

二年が経ち、どんなに表面上、「普通」の生活に戻った人たちがいても、
まだまだ多くの課題、問題は数えきれない程あります。

何かを変えたいのだけど、何から手をつけて良いのかわからない。

何かを考え出すと、

とてつもない虚無感や諦念にたどり着いて、途方に暮れてしまう時もある。

それでも自分は、未来を変えたい。良くしたい。

被災地に直接行って、現地の人たちの求めていることに対して、
しっかりと行動できる人を素晴らしいと思う。

募金をする人、多くの義援金を集めて、それを復興へと
役立てる人を素晴らしいと思う。

誰も見ていないところで、悲しみや絶望で涙を流す人、
その涙を無駄にしないよう誓う人も素晴らしいと思う。

自分の仕事を黙々とこなし、経済を回す人も素晴らしいと思う。

学校に行き、学び、これからを考えていく人も素晴らしいと思う。

毎日ご飯をつくり、命を育てる人も素晴らしいと思う。

その積み重ねが、今なんだから。

自分たち『メガネ屋』の仕事は「メガネを売ること」ではありません。

メガネをかけて頂くことによって、
見えないものを見えるようになって頂くこと。
そして、お客様の毎日の生活が少しでも明るいものになって頂くこと。

そのお手伝いをさせてください。

自分の大好きな人の、すごく心に響いた言葉があるので
最後に引用させて頂きます。

『改めて思うのだけれど、いつかみんなに平穏が訪れたときは
照れくさそうに手を離せばいい。その時まで、手を取り合おう。』

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